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Tag : ハーツクライ
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■ハーツクライ
 ハーツクライが今週末’キングジョージ’に出走する。欧州の一級G1に有力馬の1頭として日本馬が出走するのは、7年前のエルコンドルパサー以来。それだけで素晴らしいことだし、それだけでドキドキするようなこと。当日はフジテレビでのちょいと遅れての録画放送を、ダビスタP片手に観戦する予定。

 この機会に応援する日本の競馬ファンとして、できるだけ公平な立場からの視点をちょっと考えてみたい。多少手抜きになるが。


■主観
 ハーツクライは現在のところ唯一ディープインパクトを破った馬で、ドバイシーマクラシックでも逃げ切っての圧勝を繰り広げているだけに、ここ10年でも抜けた最強候補の1頭と考えている人もいるだろう。

 しかし主観で語らせてもらうならば、私は同じサンデーサイレンス産駒の括りでも、スペシャルウィークの実力には及ばず、ゼンノロブロイと同じくらいの実力ではないかと思っている。ちょうど2004年秋のゼンノロブロイの確変期と同じような状態に入っている、というのが私の評価。これは人それぞれの評価だろうが。

 主観ではなく絶対的な評価として語ろうとするならば、スペシャルウィークハーツクライよりも日本での実績が上回っていて、ハーツクライスペシャルウィークが出走すらしなかった海外G1での勝利を記録しているということくらい。しかし、それをもってどちらの方が強いのかを断じることは不可能だし、どちらが偉大なのかさえ語ることは難しい。


■強さ
 そもそも強さというものは比較のしようのないもので。例え同じレースに出走したことがあったとしても、その条件でのレースではその日はどっちが勝利した、ということしか語れないわけで。その結果がそのまま強さの順列をつけるものではない。

 例えば東京コースではどちらの方が強く、中山コースではどちらが強いということがあるように、適性というものがある以上は絶対的な能力比較などそもそも不可能なのだ。

 函館SSでビーナスラインが人気薄で勝利し、函館記念ではエリモハリアーが連覇を達成。だからといって、他競馬場でその両馬が同じように他の馬に対して優位に立てるかというと、そう考えている人の方が少ない。小倉・中京の中距離で実績を残しているメイショウカイドウは、昨年秋には毎日王冠・天皇賞で無様に惨敗を喫してしまった例もある。

 日本国内でさえこれだけの違いがあるのに、日本と海外の競馬場を比較しようとしてもできるわけがない。ハーツクライは日本とドバイの芝で結果を残したということで、スペシャルウィークよりも遠征への適性の高さと、馬場への適性の広さという点で優位に立っている。もちろん適性の広さは弱点の少なさであり、偏った一部の能力だけで結果を残しているわけではないという論拠にはなるが、それもまたスペシャルウィークに対して絶対的な優位に立てる要因ではない。あくまでも特徴として捉えるべき範囲内の話でしかないのだ(個人的には弱点の少なさは名馬の条件とは思っているが)。


■結果に対して
 欧州の芝(この括りも強引だが)への適性。それがハーツクライにあるのかどうか分からない。さらには極東から欧州への遠征ということもあり、ハーツクライは不安要因が他の出走馬よりも多い。それゆえに、もし敗れたところでハーツクライが他馬よりも弱いということを表すわけではない。

 また勝利したからといって、ハーツクライ世界最強となるのもまた正しい評価ではない。ハーツクライは、遠征も苦としない心身の強さ、スタッフの技術力の高さ、欧州の馬場・ペースへの適性、そういったものを証明することができたという事実があるだけ。そしてこの条件では出走した他の馬に対して一応の優位性を示したという事実があるだけ。

 とにかく言いたいのは、負けたから弱い、勝ったから強いと騒ぎすぎるなよってことだけなのだが。

 もちろん、ハーツクライが勝利したならば、それは日本競馬史に残る大偉業であるし、名馬としてとても高いランクを獲得するということではある。そしてそれは、私たち競馬ファンは真夜中にテレビの前で歓喜に咽ぶことができるということだ。私もそれが楽しみでならない日本の競馬ファンの一人であることは間違いない。


■ちなみに
 これだけ書いといてすべてをひっくり返しかねないんだけども。書かずにはいられないんで。

 以上のことからどの馬が強いだとかの最強馬論争は無意味だとは考えていない。そういう話をするのはとても好きで、その自由を奪われたら競馬ファンとして発狂してしまうことだろう。

 そして上でハーツクライよりもスペシャルウィークの方が強いと言ったように、自分の主観という前提はあるものの優劣をつけることは可能だと思っている。

 それは実際にレースを見ての印象、ラップ分析によって、どういった能力が秀でているかというのは判断できると思っているから。そしてどういった能力を持った馬がより強い馬なのかという明確な基準が、自分の中にできているからである。

 願わくばハーツクライにはここで結果を残してもらい、日本に歓喜を届けるとともに、最強馬論争に油を注いでもらいたいものだ。

 競馬ファンの魂の叫びまで、あと4日。
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インパクト決定、凱旋門賞に挑戦
http://www.nikkansports.com/race/p-rc-tp0-060509-0001.html

ハーツ、まずはKジョージに全力投球
http://www.nikkansports.com/race/p-rc-tp0-060509-0002.html


 世界制覇の舞台は”キングジョージ”か凱旋門賞かと注目されていたディープインパクトの目標が凱旋門賞に正式に決定。それに伴い春のグランプリ・宝塚記念への出走も決定。

 天皇賞の回顧・大地が弾んでディープインパクト!でも書いたように、個人的には”キングジョージ”ではなく凱旋門賞を目標にしたことは正しい判断だったと思う。また、日本人にとっての世界最高の舞台と言えばやはり凱旋門賞であることを考えても無難な選択と言える。ディープインパクト自身のことを考えてもタフなイメージのあるアスコットを走らなければならない”キングジョージ”よりは凱旋門賞の方がという風にも思う。

 ただ、なんだろう。宝塚記念出走って、なんだろう。

 後にディープインパクトという物語を語る時にこの宝塚記念出走という出来事をどういった言葉で語ればいいのだろうか。

 デビュー前から評判馬で、デビューしてからは破格の走りでデビュー前以上の評判の中で走り出したディープインパクト。一度も他馬の後塵を拝することなくクラシックの舞台に辿り着き、シンボリルドルフ以来の無敗の三冠を達成。

 父は日本競馬史上最高の種牡馬サンデーサイレンスで鞍上には日本競馬の記録をことごとく塗り替えてきた至高の名手武豊という文句のつけようがない組み合わせ。走りの無駄さと経験の少なさを抱えながらも競馬の常識を破るような破天荒な走りが魅力なディープインパクトが、初めての敗戦を経験したのが古馬との初めてのレースとなった有馬記念。勝ったのは数多くの経験で成長し無駄のない完璧な走りを見せたハーツクライ

 年が明けてハーツクライがドバイで更に進化した強さを見せ付けて圧勝を演じる一方で、国内に残ったディープインパクト。阪神大賞典、天皇賞と今まで通りの破天荒な走りをそのままに、昨年までのような未熟さは一切感じられないような完成された強さも同時に見せ付けての圧勝劇。これで胸を張って最強馬を名乗れるようになった。

 彼に与えられた残る仕事はハーツクライに借りを返すことと日本競馬の夢を叶えること。ハーツクライはドバイの後も海外G1に目標を定めているというのなら、もう日本でやる競馬はない。倒すべき相手もいなければ、手に入れなければならないタイトルも国内にはない。ディープインパクトに残された選択肢は海外遠征の一択のみだ。

 その上で”キングジョージ”と凱旋門賞のどちらを選ぶのかという選択があるわけで、そこでどちらを選ぶのも間違いではないだろう。ハーツクライは凱旋門賞出走は視野に入っているが決定ではないのだが、今回ディープインパクトが凱旋門賞を選んだことでもしハーツクライとの海外G1での対戦が実現しなかったとしても、それはそれで仕方ないことだと思う。

 だが、”キングジョージ”を回避して凱旋門賞出走を選択して、その上で出走する宝塚記念にいったい何の意味があるというのだろう。

 凱旋門賞への壮行レースなんてものは天皇賞でもう充分だろうし、宝塚記念を勝利することで得られる価値が今のディープインパクトにあるとは思えない。凱旋門賞へのステップレースとするには間隔が開きすぎているし、陣営の発言からもここを凱旋門賞へのステップレースとして使うという考えはないのは明らか。すでに凱旋門賞への出走を決定しているのであれば、それに向けての計画を綿密に立てて、それに絞ってレース選択をするべきではないだろうか。

 1999年10月3日―――もう7年前のことだ。エルコンドルパサーが日本競馬の夢まであと100mまで迫った。日本競馬が世界に最も近づいた日である。エルコンドルパサーは3歳でジャパンカップを勝利し、その後は日本のレースに見向きもせずに欧州への長期遠征を敢行した。彼の残した偉業は、夢の結実を目指してただそれのみに絞っての計画を実行に移しての結果。

 ディープインパクトは3歳の最後で国内にやり残したことができてしまったから天皇賞で走ることになったわけだが、その天皇賞で国内でやるべきことは完全にやりつくしてしまったのだ。そして今、世界制覇という目標を掲げたのであれば、それに向けての計画を練ってしかるべきではないだろうか。

 何も私はディープインパクトに長期遠征を勧めているわけではない。欧州に長期的に滞在するという計画はあくまでもエルコンドルパサー陣営にとってベストだと判断したから実行に移された計画でしかない。ディープインパクトにとってのベストは他のものかもしれないのだから、陣営が判断したことならばどんなやり方でもいいのだろうと思う。

 ただ、

インパクト決定、凱旋門賞に挑戦
http://www.nikkansports.com/race/p-rc-tp0-060509-0001.html

「早く行った方がいいか、ある程度こちらで仕上げた方がいいか。ステップを使うことも含め、細かいことは宝塚が終わってから」

などという陣営の言葉からすると、宝塚記念出走は凱旋門賞制覇に向けての計画の一環でないことが明確だから納得いかないだけだ。そもそも細かい計画が立てられていない状態で宝塚記念に出走するとしたら、どのような仕上げで宝塚記念に出走するのがベストなのかもわからないのではないか。

 個人的には向こうで1戦はさんで凱旋門賞出走がいいように思うが、どうしても海外でのレースを凱旋門賞だけにしたいというのならそれでもいいだろう。その時に凱旋門賞前に国内で使うとすれば、それは凱旋門賞へ向けてのステップレースでなければならないだろう。別に2戦使おうが直接凱旋門賞出走だろうがなんでもいい。ただ、凱旋門賞を目標に置いた瞬間から凱旋門賞のゲートが開かれる瞬間までは、凱旋門賞に向けての計画の下にすべて行動に移すべきである。

 なぜならディープインパクトは日本競馬の夢を背負ってしまっている馬であり、その馬で凱旋門賞出走を決意したということは陣営もディープインパクトという夢をファンと一緒に見るという側面を持つからだ。我々日本競馬ファンは、ディープインパクトという夢を語るためには、この宝塚記念出走には断固反対しなければならないのだ。

 こうやって叫ぶことが無意味なことだとしても、日本競馬を愛するファンとしては黙っておくわけにはいかない。今回の宝塚記念出走とはそういう種類のことだろうと、私は想う。
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