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■カネヒキリ
【東京大賞典】(大井)?カネヒキリ完全復活、ヴァーミリアン2着
東京大賞典結果

 カネヒキリが直線でヴァーミリアンとの叩き合いを制し、JCDに続くG1連勝。これで復帰後G1・2勝目、通算でG1・6勝となった。


 現地に行ったわけですよ。初めての大井競馬場。昼過ぎまで寝てたのもあってバタバタと家を出たわけですよ。立会川から歩きましたよ。ついたら16時回ってて焦って馬券を買って、ゴール前へ。厳密にはゴール板前じゃなく、ゴール50m手前くらいですか。ラチから20mほど離れたところへ。これ以上前に近づくのは怖く、これ以上後ろから見るのは不安で。

 現地で競馬を見ることってあまりないんです。


 どうなんでしょうね。何も言葉にできないわけですが。怖かったです。本当に。これからレースが始まるのが怖かったんです。


 カネヒキリ自身が抱えている不安。それがどれだけ大きいものかということは、それなりに長い時間競馬を見てきた人間なら嫌でも分かる。期待というものを背に乗せて走るには、あまりにも大きいダメージだ。

 JCDでは応援こそしたものの、その背中に期待を乗せてはいなかった。夢は自分の中でぐるぐると回り続けるだけで、カネヒキリの背に乗せようなんて思いもしなかった。あの感動的な結果に震えたし、夢をかなえてもらったものの、それはこちらから期待をしてのことじゃなかった。

 でも今の自分は違う。カネヒキリに期待せずにはいられなかった。

 だから、自分が願うものと違う結果が訪れてしまうかもしれないということが、たまらなく怖かった。


 レース中は何も考えられなかった。ほとんど覚えてない。スタートよく好位に取り付けたことに拳を握ったこと、直線に向いたところで外から並びかけるヴァーミリアンの勢いに敗戦を覚悟したこと、最後に目の前を通り過ぎるカネヒキリが最高に格好よかったことだけ覚えている。


 本当によかった。本当にありがとう。

 この日、カネヒキリフジキセキに並ぶヒーローになった。


■レース回顧
 というわけで細かいところも少し見ていこうかと。現地じゃ格好いいってことしか分からなかったんで、家でレースを見直してラップを見直して自分の中で落としどころだけ確認。


 12.4- 12.1- 13.0- 13.9- 13.0 という遅すぎるラップで1000m通過。格下のブルーホークにとっては一見ありがたいラップ。しかしこれだけ遅いと逆に勝利の目が完全に消えてしまうわけで。後続がピッタリついてきて上がり勝負では、現役ダート最強クラス相手じゃどうしようもないだろう。結果、35秒を切るような上がりを使わないと押し切れないという形になってしまい、それをこの馬に望むのは可哀想としか。

 カネヒキリは好スタートからスッと好位へ。外を回されることもなく、他の馬に不利を受けることもない理想的な位置取り。ブルーコンコルドフリオーソは位置取りの時点で終わってしまった。結果論になるが、この2頭はスタートで後手を取った分を取り返しにかかっても良かったかもしれない。なんせ2F目12.1秒。動いても脚は残せた。

 ヴァーミリアンは鞍上に上手く導かれていた。この頭数では最内がマイナス要素になりえるところだったが、スムーズに外目に持ち出してこちらもベストポジション。JCDでは最初のコーナーで位置取りを下げてしまったのが敗因の一つだけに、今回は力が発揮できるレースにできた。こちらとしてはそれが何よりも怖かったことだが。

 サクセスブロッケンはレース前に後方からのレースを示唆していたが、さすがにこのペースでは無理に下げるわけにもいかず。2強を見ながらのレースを想定していたのだとすれば誤算ではあったろうが、力を出すには充分な位置取り。

 そのまま隊列変わらずに勝負どころの3角まで。後半は 12.5- 12.2- 12.3- 11.4- 11.7 という極限の上がり勝負に。

 ラップが上がったところから4角にかけてで後ろのブルーコンコルドフリオーソは位置取りを押し上げようとするが、ヴァーミリアンカネヒキリには追いつけず。むしろ引き離されるような形。これはもう格の違いと言うしかないだろう。幾度も見てきた主役と脇役がハッキリ別れる瞬間が今回も形に表れた。

 この時点で争覇圏内と言えるのはカネヒキリ・ヴァーミリアン・サクセスブロッケン

 4角回って直線を向いた瞬間の印象はどう見てもヴァーミリアン。そこだけで勝ち馬を誰か当てろといわれたら、ヴァーミリアンとしか答えようがない。それくらいに素晴らしい手応えと反応だった。カネヒキリと馬体を併せ、そして交わしていく。ああ、やっぱりこの馬がベストのレースをしたら本当に強いんだなと思わされた。

 だからこそそこからカネヒキリが踏ん張って差し返したのには驚かされた。正直これは負ける時のシナリオだろとしか思えなかったから。最後2Fをともに11秒台で駆け抜けて、叩き合いを制して勝ち切ったのだから、最高級の評価を与えていいだろう。この馬は本当に強い。

 ヴァーミリアンも強かった。力を出し切れば今回のように他の馬を引き離して勝ち切れる強さがある。この上がり勝負で引き離すのだから、格が違うとしか言えない。さすがカネヒキリがいない間にダートで無敵の強さを誇っていただけある。展開一つでカネヒキリを負かすことは可能だろう。


 さて。改めてカネヒキリの来年。やはり海外には向かわないとのこと。国内専念。ただ、ダート専念との言葉は聞かれない。いや、2度も重度の屈腱炎をやっちゃった馬を今更芝に挑戦なんて考える方がおかしいのかも知れないけども。故障前には札幌記念への参戦プランもあった。ここで現役続行を考えるからにはそれくらいのサプライズがあっても……なんてね。

 その前にまずはフェブラリーS。これでG1・7勝目を挙げ、G1勝利数最多タイに並び、中央ダートG1最多勝記録更新して、すべてはそこから始まる。

 なんてこと考えてたら、ダイワスカーレットがフェブラリーS参戦の可能性が持ち上がっているとか。そういや昨年もそんなこと言ってたっけか。安牌と思っていたフェブラリーSが一気に面白くなってきた。タイプ的にダイワスカーレットがダートで力を発揮しても不思議はない。だからってダートで負けるわけにはいかない。向こうからすれば格好の叩き台ってとこだろうけど、なんとしても一泡ふかしてほしい。

 他にもダートの新鋭が続々出てきている。既存勢力もまだまだ衰えは見られない。ひょっとして来年のG1でフェブラリーSが一番面白いものになるかもね。


 あ、個人的な想いとしては、これで引退→来年種牡馬がベストってのは変わりません。種牡馬になれるのかって話があったりするけど、どう考えてもなれるでしょう。陣営がよりよい条件での種牡馬入りを考えての現役続行だっただけの話で。そのために評価を上げたかっただけで。

 だからこそここで引退するわけにもいかないし、どこかで芝にチャレンジでもして評価を上げなければ……なんて調教師は考えてそうだなぁって思ってます。はい。


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